今日はゲームボーイのRPGの中でも怪作といえる「ザードの伝説２」について。

ザードの伝説２（XARD!!　偽神の領域） 対応機種：ゲームボーイ(GB) ジャンル：ロールプレイングゲーム メーカー：ビック東海（開発はグラフィックリサーチ） 発売日：1993年2月19日

宇宙のどこかにある惑星ウルが舞台。前作から20年後、記憶を失った主人公ウルスが、自身の目的を探るため危機迫る惑星ウルを旅するところから始まります。

フィールドマップと言うものがなく、世界地図から行き先を選んで決定するとそこに向かって出発するというものなんですが、移動を開始するとパーティーが目的地に向かって歩き出す画面になります。歩く距離は目的地によって違います。またここではメニューを開く以外の操作はできず、基本的にただ見てるだけです。
ただ何日も歩いていると、歩くだけでフォウス・ポイント(HP)が減っていくようになるので、そうなったらキャンプを張って休まなければいけません。休むとフォウス・ポイントや状態異常も回復するの一方、食料が無いと回復効率が落ちるので町でこまめに補給する必要があります。

戦闘パートでは「逃げる」という行動が出来ず、代わりに「前進」「後退」コマンドで敵との距離を詰めたり離したりできます。このとき敵が目の前にいるとき「前進｣かもっとも遠くにいるとき「後退」を行うと敵がいなくなるんですが、「前進」「後退」コマンドは失敗する事もあり、逃げるよりちゃんと戦った方がよっぽど効率的ということも。

一番ビックリするのがステータス画面。
なんとフォウス・ポイント以外の項目は数字ではなく文章で表示されるんです。
文章は主人公のコメントになっていて、「オレのちからときたら　かなしくなっちゃうよ」とかそんな感じで表示されます。
仲間の場合は主人公と比較してどうかというコメントになり、「すばやさといったら　するどいものがある」といった感じになります。

あとは装備という概念が無く買えるのは消費アイテムのみ、敵を倒して手に入れるのはお金ではなくて「キバ」で日によって売値が違う、MPがなく魔法はフォウス・ポイントを消費して使う（消費量が大きいほど効果も上がる）…とにかく「今までに無いRPGを作ってやろう」という気概が見て取れる（一部は今見ても）斬新なシステムの数々。（まあ一部微妙なのもありますが）


ストーリーも当時としては意欲的で、ファンタジーかと思いきや「実は惑星ウルは生命の進化を観察するために作られた人工星だった！」というSFシナリオ。主人公は制御コンピューターに起きた異常を調べるために派遣されたエンジニアだったんですね。
また異世界感を演出するためか、メッセージテキストではテイ（日）、アワ（時間）、ブーレ（ビール）、アム（馬）など日常的に使われる言葉の多くが固有のものに置き換えられています。もちろん説明はありますし、説明書にも基本的なものは載っているんですが最初はちょっと戸惑うかもしれません。

登場人物のセリフも（いろんな意味で）印象的なものばかり。
メタ発言も異様に多く、女の子を誘拐した変態男に主人公がかけるセリフが
「やめろ！これはディーエムジーのソフトだ！
これいじょうやったら　はつばいできなくなる！」
だった時は死ぬほど笑いました。
（※ディーエムジー＝DMG…ゲームボーイ関連商品の型番）
メタ発言といえば主人公がおどろおどろしいBGMが流れるシーンで「この音楽嫌いだ」って言っちゃったり。（このBGMが流れる時は決まって戦闘になる）

そういえばBGMは結構良いのが揃っていて数も多いです。。ザコとの戦闘BGMも複数用意されていて、敵の強さによって変わってくるようです。（主人公名を「サウンド」にするとじっくり聴けますよ）


難点といえば一部のシステムが不親切な点。
さっき上げた敵からの逃げ方もそうですし、仲間はレベルアップしないのに、外すには戦闘でフォウス・ポイントを０にしたまま戦闘を終わらせないといけないという点はどうにかならなかったんでしょうか。
あと移動や戦闘のシステムも少しかったるいと感じる方もいるかも。


良い意味でも悪い意味でも他に類を見ないRPGである本作。
隠しイベントで主人公とヒロインがホテルで一夜を過ごすというイベントとかありますし、なんかゲームボーイの購買層に激しく合っていないゲームのような気がしますが、逆に言うといい年の方なら結構楽しめるんじゃないでしょうか。


それじゃ、今日はこのへんで。