４回連続でＧＢのＲＰＧをご紹介。当時のわたくし、ＲＰＧに飢えてたんでしょうか…

今回は「ビタミーナ王国物語」です。

ビタミーナ王国物語 対応機種：ゲームボーイ(GB) ジャンル：ロールプレイングゲーム メーカー：ナムコ（現バンダイナムコゲームス） 発売日：1992年9月17日

主人公イートは森林監察官の父親とともに森の汚染度合いを調査していた。
そのとき、突然異世界から転移してきた老婆と暗殺者の戦いに巻き込まれ、異世界に飛ばされてしまう。

異世界では「天下仏」と名乗る魔王が世界を支配しようとしていた。
追ってきた暗殺者を撃退したイートは、自分の世界に帰るため、そしてこの世界を救うために「天下仏」を倒すため旅に出ることに…。


たしかこのゲームはわたくしがリサイクルショップにふらと立ち寄ったところ、180円で売っていたのを購入した記憶があります。当時は正直全く期待していなかったんですが…


まず戦闘システムから。
戦闘は１対１なんですが、「ダイレクトバトル」というのを採用していて、

• Aボタン：攻撃
• Bボタン：回避
• スタートボタン：逃げる
• 十字キー：魔法（あらかじめ上下左右に魔法を１つづつセットしておく）

と全ての行動をボタン１つで決定する事ができます。また自分の行動と敵の行動は同時に処理されるので、戦闘が非常にスピーディー。さらに数秒間入力がないと敵が一方的に攻撃するためアクションゲームに近いプレイ感覚を味わう事ができます。

それと地形効果という概念があり、水中では雷系魔法の威力が上がる、氷上だと敵の攻撃を回避した時に敵が転びやすい…といった効果を上手く利用すると有利に戦いを進められます。
また敵のほとんどは一定の行動パターンがあり、これを読んで敵の行動にあわせた行動をとってさらに有利に戦いを進められます。
こういった要素があるので、簡単な操作のわりに戦闘が奥深いものになっています。
ちなみに戦闘終了時にオートセーブ機能が。（専用のファイルに自動的にセーブされる）


ストーリーは基本的によくある勧善懲悪もので、だいたいが主人公が訪れた地域で「天下仏」の手先が悪事を企んでいて、それを阻止するという流れ。
しかし各所でのイベントは奇抜そのもので、村の村長選挙で選挙運動の手伝いをやらされたり、ルーレットで法律を決める町があったり、ゆっくり温泉につかっていると敵に装備を全部盗まれ裸で追いかけるハメになったり、激辛カレーを食べてそこら中走り回ったり（それを利用して制限時間内に山を登りきるミニゲームがあったりする）など端から見ると楽しいイベント盛りだくさん。
極めつけは雪山でのイベント。仲間の女の子（戦闘中にときどき補助してくれる）と山小屋で休む事になるんですが、ベッドは１つのみ。当然同じベッドで眠る事になるんですが、床について程なく主人公がもんもんとしだし、「り、りせいがはじける！」のメッセージとともに「エッチなもうそう」との戦闘開始。（実際に戦闘シーンになる）戦闘に負けると自分を抑えるのが精一杯になりまともに休めなくなるというものすごい展開。（たぶん今やったらCREOレーティングCかDは余裕で喰らいそう）
それと詳しくは言いませんがエンディングも相当ひどい（←褒め言葉）。
でも一応後半はだんだんシリアスになっていくんですがね。

また登場する固有名詞がほぼ全て食に関係する言葉になっているのが大きな特徴です。
登場人物も「ハクサイ」「カニカマ」「ハルマキ」など食べ物の名前が多いですし、敵も「イトコンローパー」「ボンレスゾンビ」「イモグラ」「エビテンナイト」「アオカビダイフク」とかそんなノリ。それどころかアイテムや魔法まで「みつぼしアックス」「ステンレスよろい」「ケットルメット」「ソーメンソード」「スッテンバナナ」「パワーホーレンソ」「フライドエスケプ」など徹底しています。
一方敵幹部には「ナマリグンソウ」「セイサンドグマ」「チクロショウグン」「カドミウム」など毒々しい名前がずらり。
そういえば「天下仏」も「添加物」に通じますね。


ゲームバランスは良好。敵がなかなか強くて常に全力で戦う事を要求されるんですが、レベルアップでHP・MPが全快。普通にプレイしているとちょうどMPが尽きた頃にレベルアップするようになっていて、スピーディーな戦闘システムも手伝って強い敵や長いダンジョンが思ったほど苦痛になりません。
経験値稼ぎもあまりやらずに済むので単調な作業が嫌いな方も安心。


そういえばキャラも結構魅力的。
とくに主人公に協力、同行してくれる５人の王女がいて、名前こそ「エーナ」「ビーナ」「シーナ」「ディーナ」「イーナ」と超なげやりなんですが、みんな個性的でそれぞれに性格が分かるイベントが用意されているので親しみがわきます。顔グラフィックも用意されているので人によっては萌えるかも。
一方敵方では中盤で立ちはだかる暗殺部隊隊長カドミウムが印象的。敵に塩を送る余裕を見せたり、自分が負けたときのことまで計算に入れているなど、「悪役かくあるべし」といった貫禄です。


難点としては終盤の敵が強すぎる上にエンカウント率が高め（回復ポイントがあるなど救済措置はあるんですが）なこと、カーペットの上などで操作キャラが背景に同化してしまって見にくい事、全体的にグラフィックが微妙な事あたりでしょうか。あと一度拾ってしまうと捨てられず、店に売ろうとすると逆にお金を取られる「ゴミ」の存在。（あろうことかこれ入りの宝箱が大量に置いてあるダンジョンがある）


ネーミングセンスがど直球すぎるなどアクが強い本作ですが、サクサク進むシナリオ、絶妙なゲームバランス、豊富なイベントなどRPGとしては良作と言ってもいいほどの出来。一度プレイしたら忘れられない記憶に残るゲームだと思います。あとはキャラデザインが良ければなあ…DSあたりでリメイクされないでしょうか、恋愛ゲームっぽい要素もあるし萌え全開で。


それじゃ、今日はこのへんで。